今週のパン焼きもまたあわただしく過ぎ去っていきましたが、慣れてき
たと思っていたところに急激な気温の変化があったりして、調節が難し
かったりしているこの頃です。他にもグリーンレーズンを切らしてし
まったり、カレンツを切らしてしまったり、生イーストを切らしてし
まったり、他にも細かな問題もいろいろあるのですが、今週はパンを焼
くための最重要材料:小麦粉の違いでかなり苦しんでしまいました。
実はうちがメインで使っている国産小麦はキタノカオリという種類なの
ですが、これを切らしてしまって、代わりに試し用として買ってある他
の国産小麦(OPERA、はるゆたか2)を使ってみて、ちょっと不
都合が生じているのです。自分でこんなことを書くのもなんなのです
が、先週から今週のパンはあれ?と思う方がいたら、実は違う粉を使い
切れていないという技術不足、経験不足のせいだったりします。沢山の
方に買っていただいているので申し訳なくも思っているのですが...
まあこんなブログなんで白状してしまいます。
まず天然酵母のかけつぎに使っている粉をはるゆたか2にしてから、ど
うも匂いがよくないのです。今までのあま〜い香りとはちょっと異なる
ライ麦や全粒粉のようなあくの強い感じとでもいいましょうか。できあ
がりのパンへの影響はどれほどあるかは不明ですが、一番シンプルな国
産小麦100%、天然酵母、塩、ライ麦と水だけの田舎パンの味は粉が
変わって確かに落ちてしまったようです。歯ごたえがねちっとなった
り、クープの開きが悪かったり、打ち粉が生地の中に入ったのが見えや
すくなったり、クラストの甘みも少なく、風味にも雑味が増えて、色も
くすんだ感じが強くなりました。なんだかいかにもおいしくなさそうに
書いてますが、全然そんなことはない、おいしいことはおいしいんです
が、比べてみるとどうも落ちてしまったというだけなのですが、どうも
不満で...
一番影響が大きかったのはチャバッタで、これまた言うのも申し訳ない
のですが、かなり質が落ちてしまいました(がっくり)。粉の種類を書
いてしまうと、今まではキタノカオリとリスドオル、これをキタノカオ
リとOPERAに変えたら、ちょっとサクッとして食べやすくなった
かな、と思っていたので、今度はリスドオルとOPERAにしたらこ
れがべったべたの生地になってしまって。せめてタンパク量が高いはる
ゆたか2も混ぜれば良かったのかもしれないのだけれど。
水分量がかなり多いのがチャバッタの生地の特徴なんですが、山のよう
に使った打ち粉も全部吸われてしまうような生地になってしまい、結果
クラストが粉だらけで固くなってしまいました(あちゃ〜)。クラムの
色も悪く、粉の甘みも少なく、今まで作っていたチャバッタとは似て非
なるものになってしまって。試食しながらここまで変わるものなのかと
唖然。頑張ってレベル5ぐらいまでいったかなと思ったらいきなりまた
レベル1みたいな。
もちろん粉が違うなら作り方も調節してあわせればそれなりのパンには
なるのですが、そこまでの余裕がまだないというか...あんぱんなん
かはまだ普通にできたのだけど。チャバッタは今日の晩ご飯で楽しみに
していただけに余計にダメージが大きい...
とにかくまあこんな感じで経験値をためているところで、毎週同じパン
ができるようになるまでには、何週間かかるのかといったところです。
粉については今回すごくいい勉強をした気分です。来週はまたキタノカ
オリを仕入れてくるので、ちゃんと元通りになるのかどきどきですが。
実は製粉会社も違うところだし。
それにしても失敗話を書くというのはなかなかつらいものですね。わざ
わざ書かなければ多分分からないような話だし。陶芸家は失敗作は全て
割るなんてことを聞きますが、まさかせっかく焼けたものを廃棄するな
んてもったいないことはとてもできないし。ここでやはり次からはもっ
といい物を作るぞと自分に言い聞かせて、申し訳ないと思いつつも出来
てしまった物はお客さんに食べていただく。こういう葛藤を乗り越え
て、人間は成長していくのかなと、そう思います。
いや、それにしてもあれは...
この辺でやめときます。